帯金物は、あわてて留めるな!

帯金物は、あわてて留めるな!

工期を早くしたい多くの住宅メーカー・工務店は、本来取るべき時間を取らないことが往々にしてあります。

早く入居したいという施主の要望もありますし、早く竣工してお金をもらいたいという施工側の都合が合致して、スケジュールを短縮するのが、今のトレンドとなっています。

でも、時間を掛けなければいけないところが多いのが、家づくりだと思っています。

例えば、耐震性を強化する為の帯金物。

地震によって建物が揺さぶられる時に、大きな遠心力が働いて構造体が基礎や土台から離れようとします。これを引き抜き力とか引っ張り力というのですが、アンカーボルトで基礎に留められた土台部分と構造壁とを板状の金属で緊結するのが、この帯金物です。

施工する際大切なことは、金物をたるみのない状態で留めること。もしたるみがあると、地震の引き抜き力に耐えられなくなるリスクが発生します。

また、帯金物を施工するタイミングにも注意が必要です。たるみなく留めたとしても、建物が軽い状態の時に施工するのは間違いです。屋根やサッシ、石膏ボードなどの重量のある資材を建物に搬入・施工すると、構造体に負荷が掛かります。

そうなると、その重量負荷によって構造体が縮むという状態が生まれます。圧縮力が働く訳ですね。

ですから、あわてて施工すると、金物にたるみが生じてしまうことになります。上からの圧縮力によって建物が縮みますが、金属の帯金物は大きく縮むことはありません。ですので、逃げ場を失った金属が湾曲して外に膨らむこととなり、サイディングのような外壁材を内側から押し出そうとするのです。

新築時には、何も問題なかった外壁に数年でヘア・クラックが出てしまうというトラブルが生じるのも、これが原因であるという場合が多いのです。

屋根材や窓、石膏ボードなどを入れ、家が完成した時の重量に出来るだけ近づけます。そして、建物の構造に圧縮力が掛かった状態になってから帯金物を留めるのが、自然の摂理に則った施工なのです。ですから、短い工期で早く施工することがいいとは思わないで下さいね。

家は、生きているということをお忘れなく。

私たちの考えや建築に共感され、新築や修理を希望される方は、ご相談下さい。

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