耐震に対する考え方が変わる?

耐震に対する考え方が変わる?

2009年11月12日に「柔よく剛を制す」というタイトルで、長期優良住宅が倒壊したというブログを書いたのですが、この倒壊実験についての最終報告がなされたという追加記事を「ケンプラッツ」のサイトで見つけました。

おさらいの為に、その実験の内容をもう一度書きますが、実験の為に全く同じ建物を2つ用意して、建物自体の構造は現在の耐震基準を上回るものとした。但し、その土台をアンカーボルトでガッチリ緊結した建物(試験体1)とそれより劣った金物を使った建物(試験体2)とした。そして、試験体1は現在の長期優良住宅の基準をクリアしているものである。

建築基準法が想定する地震波の1.8倍に相当する人工地震波で実験したところ、試験体1はアンカーボルトが正常に作動したが、耐力壁はその地震力に耐えることが出来ず倒壊。

試験体2は、地震力によって足元に引き抜きが発生し、足元と構造体とがブラブラな状態になってしまった。結果、構造体は宙に浮いた状態になってしまった為、耐力壁に地震力がダイレクトに伝わる状況でなくなったので、倒壊は免れた。

以上のことを踏まえて、最終報告書では2つの試験体は、両方共倒壊したと結論付けたそうな。それは、試験体2も通常の基礎に載った状態であれば、基礎から外れて地表に落下したはずで、その際倒壊が起こったであろうという理由でした。

試験体1については、倒壊したもののアンカーボルトは正常に機能しており、耐力壁も想定の強度を超えた為に破壊されただけで建築基準法の基準を十分満たしていたと説明。

これに対し、多くの建築関係者が意見を述べているのですが、私自身も人命を守ることが建物の役目であるという観点からすれば、試験体2の考え方を今後の建築の指標とすべきでないかと思います。確かに、水道やガスなどのインフラが地面を通して建物に供給されているという現実からすれば、基礎と構造体とがバラバラに動く状況になるのは、望ましいことではありません。

また、そうなった場合の復旧作業は相当大変なことであることも想像に難くありません。多くの場合は、建て直すことが必要になるとも思います。でも、想定を超えた地震の際に人命を守ることが出来るのであれば、何かを弱めて構造体を守るという発想は必要な技術ではないでしょうか。

私たちが施工するレンガ積み外壁の場合、こうした考えをベースにすることは難しいかも知れませんが、基礎ごと宙に浮かせることが出来れば、問題解決出来るんですが・・・(笑)何れにしても、建築は奥が深いですねぇ。どこまで行っても完成形はありません。

私たちの考えや建築に共感され、施工を希望される方は、ご相談下さい。

私が以前書いたブログ記事:「柔よく剛を制す

※ この「お知らせ」ページは、「カテゴリー」や「タグ」のキーワードをクリックすることによって、興味のある関連記事を検索頂けます。どうぞご活用下さい。尚、写真及び記事の著作権は、当社に帰属します。無断での転載・引用はご遠慮下さい。

| カテゴリー: 健康・安全   タグ: , , , , ,   この投稿のパーマリンク

コメントは受け付けていません。