建築予定地の井戸

建築予定地の井戸

先日お客様からのご依頼で土地の状況を見に行ったというお話を書かせて頂きましたが、その土地には井戸があるんです。

昔、名古屋近郊では水道が引けていない場所も多く、自分の敷地に井戸を掘って、生活用水として使っていたおうちはたくさんありました。今でこそ、そうした住宅は少なくなりましたが、古い集落だった地域などで古い家が建っていたという場所では、井戸が残されていることがしばしばです。

既に枯れてしまった井戸もありますが、今も水脈が走っている井戸など、今でも現役で使えそうなものも多いんですよ。こういう場合、いくつか選択肢がある訳ですが、1.水道とは別に井戸を生活用水に使う、2.井戸を埋めてしまう、3.使わないがそのまま保存する、という感じでしょうか。

まず、生活用水として使う場合、井戸水の水質を定期的にチェックする必要があります。途中で水質が変化して、有害なものが入り込むと危険ですから。

また、トイレの水として利用すれば大丈夫という方もいると思いますが、水道の水を下水に流すことはOKなんですが、上水以外を下水に流すことは水道料金の問題や処理能力の負担になるという問題で行政から許可が下りない恐れが存在します。ですから、庭の散水や車の洗車に使うという用途で井戸を利用することになります。

次に、井戸を埋めるというお話ですが、枯れていない限り、個人的には私はあまりお勧めしておりません。(枯れていても、またいつか流れ出す場合もあります)

それは、地下水脈は自然の循環のひとつと考えるからです。家を建てるに当たって、井戸自体が住宅建築に支障を与えないというのであれば、わざわざ埋めて水の通り道を遮断する必要はないと思います。逆に、遮断することで逃げ場を失った地下水が、どこか別の方向に流れていったり、土を押し流してしまったりして地盤を弱くしてしまうなんてことも考えられます。

日本の都市部は、川の堆積物で出来た平野に位置していることが殆どですから、どこでも水脈が走っていると考えていいでしょう。そこに水脈があることで、地下の均衡を保っていますから、敢えてそれを崩すことは、反って地盤には悪い気がします。

私としては、井戸を使わないという場合は、邪魔でなければそのままにしておくというのが一番だと感じます。

確かに、コンクリートの大きなフタは、見栄えも悪く嫌な感じがするかも知れませんが、そこに井戸があることで地域の土地が保全されているかも知れないと思えば、大切なもののように見えますよね。また、災害時などの緊急時には、もしかしたらこの井戸の水が役に立つかも知れません。ただ、フタの管理はしっかりして下さいね。万一落ちたら、大変ですから・・・。

古い家を解体して家を建てる場合に、こうした井戸をどうするかという問題に当たることもあると思いますが、私の意見を参考によく皆さんで考えてみて下さいね。特に、井戸が家を建てる場所の真上になる場合には、こうした私の考えではいけないケースも出るはずです。

私の理念や建築に共感され、施工を希望される方は、ご相談下さい。

※ この「お知らせ」ページは、「カテゴリー」や「タグ」のキーワードをクリックすることによって、興味のある関連記事を検索頂けます。どうぞご活用下さい。尚、写真及び記事の著作権は、当社に帰属します。無断での転載・引用はご遠慮下さい。

| カテゴリー: 健康・安全   タグ: , , ,   この投稿のパーマリンク

コメントは受け付けていません。