木造(柱)への釘打ちは、なかなか難しい

木造(柱)への釘打ちは、なかなか難しい

家の構造を造る建方工事。この工事では、殆どのビルダーがネイルガンと呼ばれる釘打ち機を使用します。ネイルガンは、コンプレッサーの空気圧を利用して連続で釘を打っていく機械ですが、これを使いこなすのがなかなか難しい。

それは、釘を1本打つごとに、エア圧が徐々に下がってしまい、ある程度圧が下がらないと再びコンプレッサーが回ってくれないからなのです。つまり、最初は圧があるので、適正に空気圧を設定すれば木材にちゃんと釘が打てるのですが、何本も打つと圧が下がって釘の頭が木材から浮いてしまう。

じゃあ、それを回避する為に圧を高めに設定すると最初の方に打った釘は、木材にめり込んでしまうという問題が生じてくる。

本来ならば、木材の表面と釘の頭が、丁度同じくらいになるように打たれるのが理想的なのです。その状態が、木に対しても釘に対しても、最も強度が出ると考えて下さい。一番いいのは、手で1本1本打つことですが、それをやっていたのでは、時間とコスト(労力)の問題があって、現実的ではありません。

だから、どの圧に設定して釘打ちの仕事をするかでフレーマー(建方大工)の力量が試されているのです。早く仕事を終わらせて、たくさん稼ぎたいという人は高圧に設定すれば、一度にどんなにたくさん釘を打っても圧が下がらず、効率的です。また、釘を打つ間隔(スパン)を広くすれば、その分釘を打つ回数が減りますね。

でも、それだけ釘が本来持っている強度は落ちてしまいます。(2x4工法における釘のスパンは、本来規定があります)逆に圧を下げれば、たくさん釘は打てません。打っても後で釘をハンマーで叩かないといけなくなったりします。

次に、木材の種類と釘打ちについてもお話しましょう。

幸い私たちが構造材に使うSPF材は、桧と同程度の柔らかさを持っているので、ある程度の圧で釘を打っても割れることはあまりありません。でも、堅いダグラスファー(通称:ベイマツ、Douglas Fir)は、手打ち同然に丁寧に打たないと、すぐに割れてしまいます。

割れないように釘打ち機を使うなどということは、ほぼ不可能ですから、大工さん泣かせの素材ですね。柔道のことわざで、「柔よく剛を制す」というのがありますが、堅いものは意外ともろく、柔らかなものは一見弱そうでも向かってくる力をうまく逃がすんですね。

材が堅ければ強度も増していいように思いますが、構造材が割れては強度も何もありません。(勿論、多少割れたからと言って、大きく強度が落ちると考えるのも、神経質ではありますが・・・)

そうそう、釘打ち機で一番気を付けないといけないのは、構造用耐震合板です。合板は、SPFより更に柔らかいですし厚さが9~15mmしかありませんから、釘がめり込み過ぎると釘が利いていないのと同じ状態になってしまうのです。つまり、地震に対しても、十分な瀬能が発揮出来ません。

先程も言ったように、何事も程度の問題ですから、少しくらいのめり込みを気にすることはありません。ただ、こういうことを気にして施工するビルダーと一緒に家づくりをした方が、皆さんも楽しいですよね。これこそが、安心とか信頼とかにつながってきます。こうした私たちの考えや建築に共感され、施工を希望される方は、ご相談下さい。

<関連記事>:スプルース(SPF)(2007年04月07日)
<関連記事>:Douglas Fir(2012年11月11日)

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