外張り断熱工法は火に弱い?

外張り断熱工法は火に弱い?

2009年2月、中国・北京で建設中だった地上30階建てのテレビ文化センター(TVCC)がわずか2時間半で全焼したことは、以前私のブログでも取り上げました。

この原因は、春節を祝った花火がビルに引火したとみられている。

花火でビルが全焼するなんて、ちょっと日本では想像できないと思うくらい不思議でした。

この話に関連して、戸建て住宅の外張り断熱工法でも同様の火災は起こり得る、と東京大学の野口貴文准教授は考えているという記事が、日経ホームビルダー2010年1月号に掲載された。

外断熱(外張り)工法と言えば、一昔前にブームになるくらい流行した施工方法だ。

「溶融した外張り断熱材が、通気層から外部に流出せず、室内に漏れ出すと危険だ」とも彼は指摘している。プラスチック系の断熱材が燃えると、有害物質が室内に充満するばかりか、非常な高温となるからであろう。

業界団体は、メーカーの指定する通りに施工すれば、問題はないという。逆に、きちんと施工されなければ、リスクを否定出来ないということでもある。結局は、現場の職人次第という状況になってしまう。

ひと昔前、某大手住宅メーカーも含めて外張り断熱が素晴らしいという謳い文句で多くの住宅を販売したが、やはり全てにおいて卓越した人間の技術はないと考えるのが、普通だろう。

プラスチック系発泡断熱材の経年劣化や収縮についても、今後の観察・検証が必要かも知れない。(発泡スチロールのようなものは、古くなると内部の空気が減って、小さくなってしまう恐れがある)私としては、出来るだけ単純で自然に近いものは、一番欠点が少ないように思えてならない。

太陽の熱を遮断するレンガ積みの外壁しかり、調湿効果のある天然木材を使用した内装や柔軟な木造構造しかり、人間の生活や環境において自然のものは欠点よりも優れた長所がはるかに多いのだ。

人間の技術に溺れるものは、必ず自然からしっぺ返しを受けるというのは、建築だけに限ったことではないのである。

尚、一番上の写真は、火災後のTVCCビル。上階で生じた火炎で押出法ポリスチレンフォーム(XPS)の溶融物が壁面や内部の吹き抜けを通じて流れ落ち、下階に延焼したと考えられている。(写真:日経アーキテクチュア)

<関連記事>: 日本ではほんとに起こらない? (2017年6月15日)

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